オフロードバイク入門サイト

オフロードバイクのメンテナンス

オフロードバイクのメンテナンスについて説明します。

充電不良のトラブルシューティング

・DR-Z400Sのバッテリー充電不良を直す


DR-Z400Sのバッテリー充電不良をトラブルシュートしていきます。

長距離ツーリングの後2週間ほど乗らなかったのですが、電圧が7Vまで低下しており、セルが回りませんでした。

ちなみにそのツーリングは何の問題も無く帰って来れました。


そろそろバッテリーかな…と思いつつ、スカイリッチのリチウムイオンバッテリを外し、予備の台湾ユアサに付け替えました。

無事セルも回りエンジン始動したのでバッテリ電圧を測りましたが、13.0Vしかありません…。

レギュレーターからの充電電圧があるはずなので、13.5~15.0Vの間でないとおかしいのです。

さらにリチウムイオンバッテリはおおよそ3.3Vの4セルで13.2V位なので、充電にはそれ以上の電圧が必要です。


しかも不思議なことに、バイクにつけている電圧計(ホーンからACC電源取得)では13.8Vを指しています。

車体の電装品の電圧より、バッテリー電圧のほうが低いのです。(バッテリーは充電器で満充電済みです)

テスターで色々とチェックをしていきます。

 ・エンジン停止時のバッテリー電圧 = 12.6V

 ・ジェネレータの発電電圧 = 三相とも90V以上/5,000rpm(基準値75V以上/5,000rpm)

 ・ジェネレータの各相の抵抗値 = 0.8~0.9Ω(基準値0.5~1.25Ω)

 ・ジェネレータの各相のアース導通 = 三相とも無し

 ・レギュレータ=新品交換 = 症状変わり無し

 ・暗電流 = 1.9mA (基準値3.0mA以下)

困りました。何も悪いところが見当たりません。


配線図を見ながら考えていきます。状況からするに、車体の電装品はレギュレータの発電電圧がそのまま使われていそうです。

ということは、レギュレータの出力端子からバッテリーの間があやしいと言えます。(赤線のところ)

充電不良のトラブルシューティング

テスターで、レギュレータの接続カプラ(車体側)とバッテリ+の抵抗値を測ってみます。

0.6Ωでした。せいぜい20cm程度の導線とヒューズしかないのにもかかわらず、高すぎる数値です。

ちなみに0.6Ωは、2sqの銅線(軟銅)70mくらいの抵抗値です。

充電不良のトラブルシューティング

間にあるのはメインヒューズです。こいつがあやしいです。

たぶん高圧洗車機で洗うときに泥水が周っている気がします。

充電不良のトラブルシューティング

カバーを外すとこんな感じで20Aのヒューズが入っています(K3モデル以降は15A)。2個ありますが1つは予備です。

ヒューズ自体の抵抗値を測ってみましたが、0.00Ω未満で測定不能でした。何の問題もありません。

充電不良のトラブルシューティング

まぁヒューズホルダーの接点だろうと思いましたので、クレの接点復活スプレーでシュッといこうと思います。

充電不良のトラブルシューティング

シュッとして、ヒューズをグリグリと何回か抜き差しします。

充電不良のトラブルシューティング

ヒューズホルダーとバッテリーの間になぜかカプラがあります。海外仕様ではここに何か入るのですかね…。

これも外してシュッとしておきます。

充電不良のトラブルシューティング

もう一度抵抗値を測ります。0.1Ωまで落ちました。やはり接点抵抗があったのでしょう。

充電不良のトラブルシューティング

台湾ユアサバッテリー装着時の充電電圧です。少し低めですが、始動直後でこれならまぁいいかなと。

充電不良のトラブルシューティング

スカイリッチのリチウムイオンバッテリーを充電器で充電して戻しました。

ついでに謎のカプラは防水のため自己融着テープで巻いておきました。

充電不良のトラブルシューティング

アイドリング時の充電電圧は13.62Vまで戻りました。

本当は14Vくらいほしいのですが、始動直後ですしこんなものかなと。

充電不良のトラブルシューティング

その後エンジンが暖まった状態で、アイドリング時13.71V、5,000rpm時13.50Vまで上がりました。

※DR-Zのレギュレータはアイドリング時に最も高い電圧になる仕様です(おそらく車検対策=ヘッドライト光量確保)。

基準値ギリギリですが、様子見としてこの時は終わりにしました。


これで終わるかと思っていましたが、数ヶ月経って、また症状が再発しました。

アイドリング時は13.8Vあるのですが、3,000rpm時13.2V、5,000rpm時13.2Vまで落ちてしまいます。

アイドリングのすぐ上から急激に電圧が落ちて、その後回転を上げてもそのままという特徴があります。

次に怪しいところは、レギュレートレクチファイヤとバッテリマイナスの間です。

ここもカプラ接続になっていて、同じく泥をかぶっています。

充電不良のトラブルシューティング

ここの抵抗値を測っても、0.00Ω未満です。

しかし、テスタで測るのと実際の動作では電圧も電流も違うので、あくまで目安にしかならないのも事実です。

ここもカプラを外して、プラス側と同じように接点復活スプレーを使って汚れを落とします。


テストしてみると…、直りました!

アイドリング時13.9V、3,000rpm時13.7V、5,000rpm時13.7Vです。

この時は冬でバッテリーがへたっていて12.2Vしかありませんでしたから、正常なバッテリーならもっと上がるはずです。


恒久対処をします。防水カプラで無い以上、また同じことが起こる可能性があります。

カプラを取り外し、圧着接続端子で直結してしまいます。

これをやるとメインハーネスから容易に離脱できなくなりますのでおススメはしません。

充電不良のトラブルシューティング

一般的に、充電不良の場合はジェネレータ、レギュレータ、バッテリー本体を疑います。

いずれも問題が無い場合、配線を疑うというのも重要ですね。

DR-Zにお乗りの方、以下の2点を行う事をおススメします。

・バッテリーのすぐ上のメインフューズケースは、端子を磨いておく。

・バッテリーのすぐ上のプラスとマイナスのカプラは、端子を磨いて防水する。



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