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オフロードバイクのメンテナンス

オフロードバイクのメンテナンスについて説明します。

DR-Z400Sの電装系考察

・DR-Z400Sの電装系について考察してみる。


今回は「DR-ZのヘッドライトをH4(60/55W)化して果たして大丈夫なのか」を考察します。


一般的にバイクは、発電する電力と電装品が消費する電力がうまいバランスになるように設計されています。

極端に大電流を必要とする電装品を取り付けると、発電量を消費電力量が上回ってしまい、バッテリーが充電されないなどのトラブルが起きます。

逆に純正バルブを全てLED化するなど極端な省電力化をすると、レギュレートレクチファイアが捨てなければならない電気が増え、負荷がかかります。

# 本来は電圧、電流等の観点で細分化すべきですが、ここでは記載しません。


全体でどれだけの発電量があるかを簡単に確認できればよいのですが、現実はそうもいきません。

サービスデータ上ですとジェネレータは200W/5,000rpmの発電能力がありますが、

これはジェネレータ単体の話で、その後レギュレートレクチファイアがどのように制御しているかはブラックボックスなのです。

そうなるとテスタを使った実測しかないのですが、私のテスタは10Aまでしか対応しておらず、超えそうなので無理です。


そこで、机上で根拠を見つけていきます。

まずDR-Z400S/SMの海外仕様車は、60/55Wバルブが純正採用されています。# ライトが大きくなりカッコ良くは無いのですが。

つまり海外仕様車と日本仕様車における部品レベルの差異を見つけていけば、考察を行うことができます。

ではまずは主な電装品と消費電力を比較します。対象は日本向けと北米向けです。差異点は黄色で表示します。

【主な電装品と消費電力】
部品名 DR-Z400S '2000 JP DR-Z400S '2000 US
ヘッドランプ 35/36.5W 60/55W
ストップ/テールランプ 21/5W 21/5W
ターンシグナルランプ 15W 21W
合計(ヘッドランプ,ブレーキ,ウィンカーON) 72.5W 102W

※1 メーター照明は純正で全てLEDのため算出から除外。

※2 ホーン、セルモーターなど一時使用しかしないものは算出から除外。

※3 合計値におけるヘッドランプは、ハイ/ローのうち消費電力の高いほうで計算。


フル点灯で比較すると、北米仕様が29.5Wも多く使っています。

では、発電系統がそれに見合った専用品を使っているのか、検証します。


【主な発電系統の構成品】
部品名 DR-Z400S '2000 JP DR-Z400S '2000 US
ステータコイル 32101-29F00 32101-29F00
ジェネレーターローター 32102-29F00 32102-29F00
レギュレートレクチファイヤ 32800-29F00 32800-29F00
バッテリー 33610-29F20(6Ah) 33610-29F20(6Ah)
メインハーネス 36610-29F50 36610-29F30
メインフューズ 09481-20101(20A) 09481-20101(20A)

なんと、ジェネレータもレギュレートレクチファイアも一緒です。メインフューズですら一緒ですね。

メインハーネスは異なります。検証が必要ですが、ヘッドライト周りの配線が太かったりするのかもしれませんね。


まず全体の消費電力量として、ヘッドライトバルブを35/36.5W→60/55Wに変更することは問題無さそうです。

ただし個別の配線やスイッチの許容電力については検証していないので、心配な方は別途ハーネスを用意すると良いでしょう。


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